頭痛が原因で、学校を休んでしまったり、授業に集中できなかったり、、、頭痛は子供の生活・成長に重要な影響を与える一つの要因となっています。頭痛が少しでも改善し、頭痛に苦しまない日が増えればそれだけ子供達の可能性も広がるのではないでしょうか。頭痛に悩む子供達、そしてその親御さん達の不安な気持ちは、私も同じ子供をもつ親としてとても良くわかります。今回は皆さんの「頭痛にはどのように対応するべきなの?」「怖い頭痛とそうでない頭痛の違いは?」「治療法はどんなのがあるの?」といった疑問に日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医で、井土ヶ谷脳神経外科・内科 頭痛・めまい・しびれクリニックの院長 宮崎医師がお答えいたします。
お子様が頭痛で苦しんでいるという方はまず当院の頭痛外来を受診してください。
診察とMRI検査による画像診断で怖い頭痛の有無を診断し治療を行います。
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この記事を読むと以下の3つのことがわかります
<目次>
1.怖い頭痛は二次性頭痛。まずMRIの検査をして、頭痛治療を行いましょう。
ではまず怖い頭痛についてご説明します。怖い頭痛とは頭痛の原因となる病気によって引き起こされる頭痛のことで「二次性頭痛」と呼びます。
子供の「二次性頭痛」の割合は3-6%程度です。
二次性頭痛の割合は報告によりバラつきがありますが、風邪などの感染症によるものが一番多く、脳腫瘍や脳出血などの恐ろしい疾患によるものは非常に稀であるという結果になっております。
- 風邪などの感染症による頭痛(14.8%-61%)
- 頭頚部外傷による頭痛(6.6%-20%)
- 副鼻腔炎による頭痛(9.0%-16.7%)
- 脳腫瘍(0.3%-2.6%)
- 脳血管障害(0.2%-0.5%)
この「二次性頭痛を除外するために神経診察とMRIによる画像検査を行い診断を進めていきます。脳腫瘍や脳出血による頭痛は稀ではありますが、ゼロではないためしっかりとした検査で除外することが必要」になります。
「二次性頭痛」でない一般的な頭痛は「一次性頭痛」と呼びます。
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2.子供の一次性頭痛。最も多いのが「片頭痛」と「緊張型頭痛」。
日本での子供の頭痛の頻度は以下の通りです
片頭痛
- 小学生で3.5%(男4.0%、女2.9%)、
- 中学生4.8-5%(男3.1%、女6.5%)、
- 高校生15.6%(男13.7%、女17.5%)、
緊張型頭痛
- 小学生5.4%(男4.6%、女6.1%)
- 中学生11.2%(男10.2%、女12.2%)
- 高校生26.8%(男23.0%、女30.6%)
頭痛に苦しんでいる子ども達は大人と同じくらい沢山います。頭痛を我慢しながら生活することはとても苦しいことですが、頭痛の症状は外からは見えず、周囲から理解を得にくいという困難さがあります。頭痛がある場合は我慢しすぎず、頭痛を治療できる医療機関をなるべく早めに受診してください。子供の頭痛の中でも痛みが激しくなりやすい片頭痛治療について説明します。
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3.子供の片頭痛の治療方法。薬物療法と非薬物療法。
子供の片頭痛にはリラクゼーションなどの非薬物療法も併用すると効果的。
片頭痛治療は大人も子供も薬物療法と非薬物療法を行います。特に子供の場合は非薬物療法もしっかりと行うことで効果が高いとわれています。
まず非薬物療法の種類と、内容について説明します。
非薬物療法には主に以下の方法があります。
- 片頭痛の原因となる行動を避ける、適切な行動を取る
- 栄養補助食品の摂取
片頭痛の原因となる行動には運動不足、コーヒー摂取、ストレス、などが挙げられています。適切な行動には良好な睡眠、適切な食生活、食品添加物を含まない食事等が挙げられてます。このような行動による治療はしっかりとした研究による効果の裏付けはされてませんが、頭痛専門の医師の中では重要な対応であると認識されております。
栄養補助食品に関してはビタミンB2が有効であるという報告があります。が有効性は確立されてません。
子供の頭痛の薬物療法には以下の方法があります
- 痛み止め(イブプロフェンが小児の第一選択)
- トリプタン製剤(片頭痛の特効薬のうちの一つ)
- 片頭痛予防薬(アミトリプチン、トピラマート、プロプラノロール、ロメリジン)
非薬物療法を行っても頭痛が改善せず、「強い頭痛が1-2時間以上継続する場合は薬物療法が必要」となります。
子供の片頭痛に対する痛み止め
子供の片頭痛に対する痛み止めはイブプロフェンが第一選択となっておりますが、アセトアミノフェンも有効例が多いためこの二つの薬を組み合わせながら使っていくこととなります。
痛み止めでは効果が得られないときのトリプタン製剤
痛み止めだけでは効果が薄い場合は片頭痛特効薬トリプタン製剤を使用します。トリプタン製剤は血管壁を収縮させる、痛みの原因物質の放出を抑制する、痛みが伝わるのを抑制することで片頭痛の痛みを抑える薬です。一般的な痛み止めとは違う種類の薬になります。年齢によって使用可能なトリプタン製剤が異なるのでどの薬を使用するかは主治医の先生と相談して決めていきます。血管収縮が重篤な副作用を起こす可能性のある病気を持っている人には使えません。薬の使い方の指標を下に記載しておきます。
くすり | 使う量 | ||
イブプロフェン | 5-10mg/kg | ||
アセトアミノフェン | 5-15㎎/kg | ||
トリプタン製剤 | 小児期(6-12歳) | スマトリプタン | 点鼻薬20㎎ |
リザトリプタン | <40kg:1/2錠(5㎎) >40㎏:1錠(10㎎) | ||
思春期(13-17歳) | スマトリプタン | 1錠(50mg)、点鼻薬(20㎎)、皮下注射1A(3mg) | |
リザトリプタン | 1錠(10㎎) | ||
エレトリプタン | 1錠(20㎎) | ||
ナラトリプタン | 1錠(2.5㎎) | ||
ゾルミトリプタン | 1錠(2.5㎎) | ||
ナプロキセン+スマトリプタン | ナプロキセン2-3錠(100㎎/錠) スマトリプタン1錠(50㎎) |
子供の片頭痛の予防薬
子供の片頭痛の予防薬は「日常生活に影響を与える頭痛が月に4回以上ある場合は適応」になりますが、「回数が少なくても生活に支障がある場合は予防薬を検討」します。
- アミトリプチン(弱い推奨/エビデンスの確実性C)
- トピラマート(弱い推奨/エビデンスの確実性B)
- プロプラノロール(弱い推奨/エビデンスの確実性B)
- ロメリジン(弱い推奨/エビデンスの確実性C)
予防薬は、3か月程度内服してから効果が出るといわれていますので根気よく内服する必要もあります。
予防薬 | 投与量 |
三環系抗鬱薬 アミトリプチン | 5-10㎎から開始、就寝前 維持量5-60㎎/日(1.5㎎/kgまで) |
抗てんかん薬 トピラマート | 25㎎(0.5-2㎎/kg)から開始 維持量25-600㎎/日(9㎎/kgまで) |
β遮断薬 プロプラノロール *リザトリプタンとの併用禁忌 | 20-30㎎(0.5-1mg/kg)から開始 維持量30-60㎎/日 |
Ca拮抗薬 ロメリジン | 10mg/日から開始 維持量10-20mg/日 |
痛み止めが劇的に効いて頭痛が改善するお子さんや、薬の効果はいまいちだけど、学年が上がったり環境の変化で頭痛が改善する場合もあります。ゆっくりと症状の変化を診ながら時には薬をやめるといった対応も必要となってきます。
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4.まとめ
- 子供の頭痛はまず医療機関の頭痛外来を受診し原因を調べてください。
- 子供の頭痛は、怖い二次性頭痛の可能性もあるためMRIで頭の中に病気がないか検査を行いましょう
- 子供の頭痛、特に「片頭痛には特効薬、予防薬等もあるため医療機関で適切な治療を」受けてください
お子様の頭痛は、学校、学業、普段の生活、成長など様々なところに影響を与える可能性があり、悩まれている親御さん、お子様は非常に多いです。
少しでも頭痛で悩まれている方は、一度当院の頭痛外来に是非いらしてください。MRIを用いて怖い病気をしっかり検査して、頭痛治療も行っていきます。治療の効果が薄く生活や精神的ケアが必要な場合は連携医療機関と協力しながら一緒に治るお手伝いをさせて頂きます。
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2024.06.27
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